かつて、理系学生やエンジニアの胸ポケットには、魔法の杖が刺さっていました。「ポケコン(ポケットコンピュータ)」です。
1980年代から90年代にかけて全盛期を誇ったこのデバイスは、単なる電卓ではありませんでした。数式を書き、変数を与え、BASICという言語で自らプログラムを組む。それは「与えられた計算をする道具」ではなく、「自らの思考を拡張する武器」でした。しかし、2000年代半ば、その魔法の杖は忽然と姿を消してしまいます。
1. ポケコンが消えた「空白の10年」の正体
2005年頃から2010年代にかけて、モバイルの世界は激変しました。シャープのザウルス、PDA、そしてスマートフォンの登場。デバイスが多機能になる一方で、ポケコンが持っていた「現場ですぐにロジックを組む」という圧倒的な機動性は、かえって失われてしまったのです。
| ツール | メリット | ポケコンと比較した弱点 |
|---|---|---|
| 一般的な電卓アプリ | 手軽、無料 | 計算過程が残らず、修正がきかない |
| Excel / スプレッドシート | 超高機能 | スマホでの数式入力が極めて困難 |
| PCでのプログラミング | 何でもできる | 「ポケットから出して即座に」ができない |
2. Scratchから辿り着いた「計算の再発明」
そんな中、現代のアプリ市場に登場したのが「CariBloc(カリブロック)」です。興味深いのは、このアプリの開発者がかつてのポケコンを研究して作ったわけではなく、出発点が「Scratch(スクラッチ)」だったという点です。
現代のプログラミング教育の標準である「ブロックを繋いでロジックを作る」という体験。これを計算機に持ち込めないか? その純粋な試行錯誤の結果、生まれたUIが、図らずもポケコンの理想を現代に蘇らせることになりました。
3. 歴史の合流:直感性が「ポケコンの魂」を呼び覚ます
開発者が「なんとなくの印象」で掲げた「ポケコンのような便利さ」というキーワード。それは、偶然にもポケコンの自由度と、現代のブロックUIが合流した瞬間でした。
- 変数の可視化: 計算結果を「#1」「#2」というブロック番号で呼び出す。これは、ポケコンで変数を操ったあの感覚そのものです。
- エラーからの解放: 1文字の間違いで「Syntax Error」に泣かされた時代は終わり、ブロックを並び替えるだけで複雑なシミュレーションが可能になりました。
「ポケコンを知らない世代」の開発者が、教育的な直感から「ポケコン世代」が熱望した環境を再構築したのです。
【現代に蘇った「スマホ版ポケコン」を体験する】
電卓の「手軽さ」と、プログラミングの「論理」を一つに。
ブロックを繋ぎ、あなただけの計算ロジックを組み立てる新感覚アプリ。
CariBloc – カリブロック
ポケコンは、ハードウェアとしては役割を終えたかもしれません。しかし、その「思考を構造化して持ち歩く」という精神は、形を変えて生き続けています。今、再び「自分だけの計算機」をポケットに忍ばせる楽しさを、CariBlocで体感してみませんか?
